この21世紀令和の時代においても、悲しくも我が日本では先住民族であるアイヌ民族への差別がまだ存在する!
最近の話題では、現代の日本人のゲノムの一部は縄文人に由来しているという。具体的な比率については、研究により異なる結果が報告されているが、一部の研究では、本土日本人のゲノムの約10%が縄文人に由来すると推定されている。また、別の研究では、本土日本人は縄文人に由来するゲノム成分を20%程度保有していると推定されている。これらの比率は地域により異なり、例えば北海道のアイヌ民族の人々は7割くらい、琉球の人々は3割くらいを受け継いでいると考えられている。これらの研究結果は、縄文人と後の渡来人との混血が現代の日本人集団を形成したことを示している。ただし、これらの比率は研究により異なるため、絶対的な数値として捉えるのではなく、あくまで一つの見方として理解してチョウダイとのことである。
あらためてアイヌ民族に関してザックリと確認しておくと、古代の「蝦夷=えみし」については、古くから「えみし」がアイヌと同一の民族だったのかどうかについての議論があった。
江戸時代の大学者、本居宣長は「えみし」はアイヌであるという説を唱えたそうである。
また、アイヌ語の研究で知られる言語学者の金田一京助(テレビでおなじみの言語学者・金田一秀穂先生のおじいさんです)は、東北北部に残る地名がアイヌ語由来であることから、奥羽地方にいた「えみし」はアイヌ民族だったのではないかという説を提唱された。
しかし、考古学者や人類学者による研究では「えみし」が「アイヌ」であるというハッキリとした証拠がなく、両者を同一のものと見るのは難しいのではないかとの見方である。
個人的には、次世代シークエンサの技術で古代DNAを解析することにより、ハッキリと判定される日は近いと期待している!
取り敢えず、現在の教科書では古代の「蝦夷(えみし)」はアイヌとは必ずしもイコールではないとされているのだ。
つまり、大和朝廷の支配に従わなかった東北部の人々のことを、まとめて「えみし」と呼んでいたという見解である。
その中には日本語を話す人たちもいたであろうし、のちにアイヌ民族となる人たちもいたであろうとの考えである。
それらを全てひっくるめて、大和朝廷は自分たちに従わない野蛮な人たちという差別的な意味で「えみし」と呼んでいたとの見方なのである。
したがって、そもそも「えみし」を民族や人種的な概念だと考えるのが間違いだという見解になる。
一方、中世以降に北海道に居住していた「蝦夷(えぞ)」はアイヌ民族だったと考えられている。
そんな見方をされて来たアイヌの人々が、受けた差別や迫害とはどのようなものなのか。どうすれば解決できるのか。『ABEMAPrime』でアイヌにルーツを持つ当事者のお二人がこのような議論をされている。
そのお一人である、北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授の北原モコットゥナㇱ氏は、一つには「“純粋なアイヌ民族”は存在しないから政府の施策は不要・不適当だ」、もう一つは「不正会計や不正申請などで様々な支援策を食い物にしている」という二つのタイプの攻撃があると指摘される。
「私は埼玉県出身だが、周りの人はほとんどアイヌのことを知らない。観光で行ったことがある人が“北海道にいる原始人でしょ?”と言うぐらいだ。欧米系の外国人はわりとリスペクトされるけれども、一般的な排外主義の一部に加わることが本州のほうでは多い。北海道ではやはりアイヌが知られているので、日本人ではない人々という見方をされ、もう少し直接的な差別が起こる。埼玉にいた時は『外見が違う』、北海道に行くと『アイヌ』と言われる違いがある」。
もうお一人の、アイヌ語教材開発など文化を伝える活動や「ゲストハウス二風谷ヤント」の運営をしている萱野公裕氏は、「僕はアイヌがたくさん住んでいる地域の出身で、周りがすでにわかっている環境で育った。差別の形も、どのぐらいの割合でアイヌがいるか、周りがどれだけ知っているかで変わってくると思う」と説明。
アイヌが知られていないコミュニティでは、自身のルーツは明かさないという。「神奈川で働いていたこともあるが、言ったところでプラスになる感覚がない。言わなければ、日本語も話せるし、普通に日本人ということで暮らしていける。差別をされるというマイナスになり得るので、あえて言わないことが多い」と述べている。
また、北原氏は「日本人という言葉には、“国籍”という意味合いと、日本語・日本文化を作ってきた人々という“民族”としての2つの意味合いがある。アイヌは日本国籍だけれども、アイデンティティとしてはやはり本州以南の人々とは違う。国内には複数の民族がいて、琉球を民族だと考える人もいれば、奄美と沖縄も違うとか、小笠原諸島の人々もハワイ系の人がいるとか、あるいは帰化した人々もいる。本当は多様な人々・民族が日本の中に暮らしているのだが、あまりに知られていないと感じるとのことである。さらに、「アイヌ施策は2009年あたりから国単位で少し進展してきたが、それに対するバックラッシュ(揺り戻し)も出てきているのではないか」とも。
萱野氏は、「僕の地域でいえば、親世代の時よりは今のほうがずっと暮らしやすいと思うが、北海道全体で見ると変わらず差別が続いている地域もある」とした上で、「当事者や少数者側が何かを変えようとするのは、マンパワー的にも難しいところがある。多数派の理解度を深めるために、学校教育や広報活動に期待する」と語った。
北原氏は取り組むべき課題として、「差別とは何かを議論して明確にする」「差別監視・認定の公的機関を設置する」「差別認定された時の罰則規定を定める」の3つをあげる。
そして「漫画の影響などで好意的な受け止めが広がってきていると思う。今度は個人的に好きになるということではなく、差別を明確にし、監視・認定して、どう対処するかを制度として確立していく必要があるのではないか」と!
2019年には、アイヌ民族を「先住民族」と明記した「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が成立した。そして、学習指導要領の改訂で、小・中学校の社会では「北方との交易をしていたアイヌについて取り扱うようにすること」に加え、「アイヌの文化についても触れること」も明記された。
しかし、これに対して、北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授の北原氏は「今のままでは“標本”の勉強に終わる」と危惧されていることが、今のまさしく日本の問題である!
ダイバーシティを唱えるだけで、その実行があまり伴わない日本を象徴する大きな問題の一つである!
やまないアイヌ差別、道内外での違いも 「今のままでは“標本”の勉強に終わる」当事者に聞く課題(ABEMA TIMES) – Yahoo!ニュース
【蝦夷とアイヌの違い】わかりやすく解説!!同じ民族なの?特徴・関係など | 日本史事典.com|受験生のための日本史ポータルサイト (nihonsi-jiten.com)
アイヌ新法成立、日本の「消えゆく民族」とは – CNN.co.jp