中国共産党の統治手法は、その歴史を通して多くの変遷を経て目覚ましく進化してきた。以下に、その特徴と歴史的変遷を簡単にまとめてみた!
<統治手法の特徴>
1:一党独裁制: 中国共産党は一党独裁制を採用しており、他の政党や政治団体の存在を実質的には認めていない!
2:集中的な指導体制: 中国共産党は国家の全ての重要な決定を行い、政府の各部門に対して指導を行う!
3:経済改革と市場経済の導入: 1978年の改革開放以降、中国共産党は市場経済の要素を取り入れつつ、国有企業の重要性を維持している!
4:情報統制と監視: 中国共産党はインターネットやメディアの統制、市民の監視を強化している!
5:国家主義と愛国主義の強調:中国共産党は 国家主義と愛国主義を強調し、国民の結束を促進している!
<統治の歴史的変遷>
1:建国と初期の統治 (1949年): 1949年に蒋介石率いる国民党との国共内戦に勝利した中国共産党が、中華人民共和国を建国した。そして毛沢東が率いた中国共産党は、共産党の一党独裁体制を確立した。
2:盟主ソ連との決別 (1956年以降): 当時共産主義の盟主であったソ連からの独立を強く望んだ毛沢東は、ソ連の自由主義諸国との「平和共存」路線が共産主義の革命的な闘争を後退させるものと批判し、中国は独自の社会主義の道を歩むとしてソ連と決別した。
3:文化大革命 (1966-1976): 文化大革命は、失脚の後に復権を目指した毛沢東の指導の下で行われ、多くの知識人や文化人が迫害された。毛沢東は、当時共産党党指導部の実権派と目された鄧小平や劉少奇国家主席らを失脚させ復権を果たした。
4:改革開放 (1978年以降): 1976年の毛沢東逝去の後、見事に復権を果たした鄧小平が主導し、市場経済の導入と経済改革が進められた。地方政府が経済政策においては、独自のアプローチを取ることが許されることになった。
5:21世紀の統治: 異例の3期目となり「核心」と呼ばれるまでになった習近平総書記の下で、不動産不況や内需停滞を乗り越える為に、益々国家主義と経済成長を重視する政策が推進されている。
これらの特徴と変遷を通じて、中国共産党の統治手法は時代と共に進化し続けているのである!
余談にてまったく単なる個人的な憶測の話ではあるが、トランプ大統領の若き20代の頃を描いた話題の映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』にあるように、確かに若きトランプ氏を覚醒させたのは悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンかも知れない!
しかし、その後のトランプ大統領は、当時人口の八割を占めていた農民を中心にした革命を成し遂げた中国共産党が生んだ希代のリアリストである毛沢東、そしてもう一人はイデオロギーには固執せず、市場経済を導入し、中国の経済成長を開花させた世紀のリアリストである鄧小平の考え方を相当真摯に学んだように思えるのだ!
閑話休題、中国共産党にはITテクノロジーを利用した統治手法において特に際立つ特徴がある。以下にその主な特徴を挙げる!
1:監視と管理: 中国政府は、インターネットを通じて市民の行動を監視し、管理するための広範なシステムを構築している。 例えば、インターネット検閲システム(グレートファイアウォール)を通じて、不適切なコンテンツや反体制的な情報をブロックしている。
2:デジタル身分証明: 中国では、市民のデジタル身分証明システムが導入されている。これにより、個人情報や行動データが集約され、政府はこれを利用して市民を追跡し、管理することができる。
3:ソーシャル・スコアリング: 中国では、ソーシャル・スコアリングシステムが導入されており、市民の行動や言動がスコア化される。このスコアは、雇用や住居の確保など、さまざまな面で影響を与えることがある。
4:AIとビッグデータ: 中国政府は、AI技術とビッグデータを活用して、市民の行動を分析し、予測するシステムを構築している。これにより、政府は市民の行動パターンを把握し、迅速に対応することが出来る。
5:インフラの整備: 中国は、高速インターネット接続を提供するためのインフラを大規模に整備した。これにより、政府は市民に対して迅速かつ効果的に情報を提供し、管理することが出来る。
なおつい先日には、中国の新興企業「ディープシーク(DeepSeek)」が公開した新しいAI(人工知能)モデルの台頭が、AIリーダーの優位性を脅かすことへの懸念からエヌビディアや関連銘柄を中心に日米の半導体関連株に大幅安をもたらしている!
これらのITテクノロジーを通じて、中国共産党はAIにより市民の行動を監視し、管理することで、社会秩序を維持しようとしている!
このように中国共産党はAIを駆使しITテクノロジーを利用した綿密な統治手法を採用しているが、この手法には以下に示すような難しい課題が存在する!
1:プライバシーの侵害: 大規模な監視システムとデータ収集が行われており、市民のプライバシーが侵害されることが懸念されている。
2:個人の自由の制限: インターネット検閲や情報統制が強化され、市民の自由な情報アクセスが制限されている。
3:技術の進化と対応: 技術の進化に追いつくための継続的な莫大な投資とインフラ整備が必要である。
4:国際的な信頼の問題: 他国との関係において、ITを利用した統治手法が信頼を損なう可能性がある。
これらの課題に対して、中国共産党はこれからどのように克服するために対応していくのかが大いに注目されている!
また、中国共産党が経済活動において国有企業を優先的に保護育成することは、統治手法の一環としてこれまで重要な役割を果たしてきた。しかし、国有企業が失敗したり破綻した場合には以下のような重大な影響が考えられる。
1:経済の不安定化: 国有企業が経済の大部分を占めているため、これらの企業が失敗し破綻すると経済全体に大きな影響を与える可能性がある。失業率の上昇や経済成長の鈍化が懸念されている。
2:社会的不安: 国有企業の失敗や破綻は、労働者やその家族に直接的な影響を与えるため、社会的不安や抗議活動が増加する可能性がある。
3:政治的な影響: 経済の不安定化や社会的不安が増加すると、共産党政府への信頼が低下し、政治的な安定性が揺らぐ可能性がある。
4:民間企業の役割の増大: 国有企業の失敗や破綻により、民間企業が経済の中心的な役割を果たすようになるかもしれない。これにより、経済の多様化が進む可能性がある。
これらの影響を考慮すると、中国共産党はこれからは国有企業の改革や民間企業の支援を抜本的に強化する必要が間違いなくあるであろう!
結びに、中国共産党が全中国人民を監視する為のおカネのこと、その社会的コストの面を考えてみる!
中国はITテクノロジーを利用した監視社会を実現するために大規模な投資を行っているが、具体的なコストに関する公式な情報は限られている。しかし、いくつかの報告がある。
例えば、監視カメラ、顔認識技術、AIを活用して、犯罪の予防や迅速な対応を目指している中国の監視システム「天網」(Skynet)のコストは、少なくとも数十億ドルにのぼると推測される。
また、人工知能やビッグデータ解析のためのインフラ整備や人材育成にも多額の費用がかかっているのは明らかである。
具体的な数字を把握するのは難しいが、中国の監視社会にかかるコストは莫大であり、国家予算の大きな割合を占めていると考えられる!
参考までに、英国の公共用の監視カメラであるCCTVカメラ700万台のコストは、設置費用や維持管理費用を含めて非常に高額である。年間で恐らく最低3億ポンド(約600億円) は費やされているようである。
中国では、3億台以上の監視カメラが設置されていると言われているので、英国の約43倍ならばそのコストは約2兆6000億円以上である。勿論、その監視システムに関る数十万人規模の人員のコストは別での話である。人員が仮に30万人だとすると、さらに最低2兆円以上のコストが上乗せされよう。
日本の令和6年度(2024年度)の国防予算は約8兆円であるが、中国では自国の国民に対する監視システムだけで約5兆円ものおカネを使っているかも知れないのである!
ちなみに、公共用の監視カメラ台数については、米国では推定1300万台程度、我が日本は英国よりやや少ない500万台程度だそうだ!
「質の高い論文数」中国が2年連続で世界1位に 日本は過去最低の12位
中国が最大の論文発表国に躍進 | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio
業界を揺るがした中国AI新興企業、「ディープシーク」とは – CNN.co.jp
中国のインターネット事情:規制と革新が共存する世界 | CRESON Media | 中国SNS動画・越境EC支援のクレソン
中国の監視カメラの台数はいくつ?監視システム「天網」について | 防犯カメラ設置110番
世界の防犯カメラ設置台数は? 日本は? | 防犯カメラ関連ブログ | 防犯カメラ・監視カメラは創業103年|信頼と実績のツバキへ@福岡
旧大日本帝国の台湾統治や韓国統治と欧米宗主国の植民地統治の違いとは、一体なんだったのか?