うま味(umami)は、今から百年ばかり前の1908年に、日本で発見された人間の味覚の基本味の一つである!
しかし、「うま味」を科学的に発見したのは日本ではあるものの、「うま味」そのものはアジアの料理には昔から伝わる伝統的な共通の味なのだ!
一方、ヨーロッパにおいて「うま味」は、476年のローマ帝国の滅亡後は、忘れられた味、意識されなくなった味となっていた!
つまり、「うま味」はヨーロッパが1500年近く忘れていた味なのだった!
個人的には、この「うま味」に対する意識の存在のあるなしの違いが、アジアとヨーロッパの文化の発展の違いを生み出した可能性が大いにあるのではないかと妄想している!
つまり、ローマ帝国の滅亡後には、ますます一神教であるキリスト教への帰依が増し、モノゴトに白か黒かをハッキリさせたい気分がヨーロッパでは強くなり、あいまいなものを嫌う傾向が明らかに強くなったように思うのである。
そのように考えると、中東の「うま味」に対する認識もかなりヨーロッパ的であることから、同じく一神教であるイスラム教への帰依がドンドンと増えたように思えるのである。
ただし、中東はアジアと接しているだけあって、ヨーロッパよりは「あいまいさ」に対する許容感覚は残っていたように思うのだ。イスラム教には、他の宗教に対する寛容さもあったからだ。
それと比べ、アジアでは程度の差こそあれ、ずっと「あいまいさ」は大事な存在と認識されて来たように思うのである!
アジアでは昔からずっと、今日に至るまで日々の生活に中で、「うま味」を意識して味わう文化が続いて来た!
閑話休題、うま味(umami)の「うまみ成分」は、「アミノ酸」系、「核酸」系、「有機酸」系の3つから成る!
ここでは後程その中の2つである「アミノ酸」と「核酸」のコンビに大いに注目する!
「アミノ酸」系のグルタミン酸や「核酸」系のイノシン酸の他にもいくつかの重要な「うま味成分」がある。これらの成分は食品の風味を豊かにし、食事の満足度を高める役割を果たしている。その他の主な「うまみ成分」とはこんなものだ。
「アスパラギン酸」!
アスパラガスをはじめ、牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類に多く含まれている「アミノ酸」である。
「グアニル酸」!
特に干し椎茸などの乾燥したきのこ類に多く含まれており、椎茸の旨味成分として知られている「核酸」である。
「コハク酸」!
主に貝類や清酒の旨味成分として知られており、酸味や苦味と混ざったような旨味を提供する「有機酸」である。
これらの成分は、単独で摂取するよりも組み合わせて摂取した方が、旨味を倍以上に感じることができる「旨味の相乗効果」を生み出すのだ。
例えば、昆布(グルタミン酸)と鰹節(イノシン酸)、椎茸(グアニル酸)を組み合わせた「だし」は、日本料理における伝統的な旨味の源である。このように、「うまみ成分」は食材の組み合わせによってさらに引き立てられ、日本料理の味わいを深める重要な要素となっている。
それではあらためて、それぞれを個別に見てみよう!
まずはメインの「グルタミン酸」!
グルタミン酸は、たんぱく質を構成する20種類の「アミノ酸」の一つで、その独特な味わいから「うま味」の源とも言われている。昆布やトマト、ブロッコリーなどの野菜類、チーズなどの発酵食品に多く含まれている。また、体内で抗酸化作用を発揮する材料の一つでもありのだ。
「イノシン酸」!
イノシン酸は「核酸」の一種で、主に肉類の中に存在する天然化合物である。魚肉や畜肉、特に鰹節のうま味の主成分であり、調味料としても生産されている。イノシン酸は、「ヌクレオチド」の1つとして知られている。
「グアニル酸」!
グアニル酸も「核酸」の一種である。特に干しシイタケのうま味の主成分として知られており、キノコ類に多く含まれている。グアニル酸も「ヌクレオチド」の1つである。細胞内に存在するリボ核酸(RNA)の分解により生成され、食品の熟成によってうま味成分が増加すのだ。
さて、いよいよここでお待たせの「うまみ成分」2つである「アミノ酸」と「核酸」のコンビに注目する!
「アミノ酸」と「核酸」とのコンビは、生物の細胞内で非常に重要な役割を果たす生体分子コンビである!
「アミノ酸」と「核酸」とのコンビの関係は、生命の基本的な機能と密接に結びついている。以下にその関係を簡潔に説明する。
1:「アミノ酸」と「核酸」のコンビは、生物の遺伝情報の表現とタンパク質合成のプロセスにおいて、互いに補完し合う重要な役割を担っている!
2:「核酸」が『情報の保存と伝達』を行い、「アミノ酸」が『その情報に基づいて具体的な機能を持つタンパク質を形成する』ことで、私たちの生命活動が成り立っているのである!
皆さんがよくご存知の「アミノ酸」は、人体にとって非常に重要な役割を果たしている。
以下はアミノ酸の主な働きである。
A:<筋肉の合成>
「アミノ酸」は、筋肉の主要な構成要素であり、筋肉の修復や成長に必要である。
B:<エネルギーの代謝>
特定の「アミノ酸」は、エネルギー源として利用され、運動時の持久力を支える。
C:<免疫機能の強化>
「アミノ酸」は、免疫細胞の活性化に関与し、体の防御機能を高める。
D:<神経伝達物質の合成>
「アミノ酸」は、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の前駆体となり、脳機能の調節に寄与する。
E:<肌や髪の健康>
「アミノ酸」は、コラーゲンやケラチンの構成成分であり、肌の弾力や髪の健康を保つ。
F:<代謝促進>
「アミノ酸」は、基礎代謝を高め、脂肪燃焼を促進する効果がある。
これらの働きにより、「アミノ酸」は健康維持や体の機能向上に不可欠な栄養素となっている。
もう一方の「核酸」は、生物の遺伝情報を担う重要な高分子有機化合物で、「リボ核酸 (RNA)」と 「デオキシリボ核酸 (DNA)」の総称である。これらは、塩基、糖、リン酸からなる「ヌクレオチド」が結合して連なったもので、生命の設計図とタンパク質の合成に不可欠な役割を果たしている。
「核酸」は、『細胞の核』や『ミトコンドリア』の内に存在し、生物の健康維持、増殖、遺伝などの現象に重要な働きをしている。
また、食品にも含まれており、特にタンパク質源である肉や魚介類、豆類などに多く含まれている。
そして、「核酸」の一つである「ヌクレオチド」は、生命の維持活動において非常に重要な役割を果たしているのだ!
具体的には「ヌクレオチド」には以下のような機能がある!
1. <遺伝情報の伝達>
「ヌクレオチド」は、DNAとRNAの基本単位として機能し、遺伝情報を次世代に伝える役割を持っている。DNAの二重らせん構造は、ヌクレオチドの配列によって形成され、生物の形質を決定づける。
2.<エネルギー供給>
ATP(アデノシン三リン酸)として、「ヌクレオチド」は、「細胞のエネルギー通貨」として機能する。ATPは細胞内でエネルギーを供給する主要な分子であり、細胞の様々な代謝活動を支えている。
3. <代謝経路における役割>
「ヌクレオチド」は、生体内のあらゆる代謝に用いられており、エネルギーや物質の代謝で重要な役割を持っている。
これらの役割により、「ヌクレオチド」は、生命活動の中心的な役割を担っており、生物が生きていく上で欠かせない分子なのだ!
同時に「ヌクレオチド」は、DNAの構造要素として、またエネルギーの貯蔵と供給に関わることで、生物の成長、発達、維持に必要なプロセスを支えている!
さらに、「ヌクレオチド」は、免疫機能のサポートや腸内環境の改善にも関与しているとされており、生命活動全般にわたって重要な役割を果たしているのである。
ホンマに、アジアでは昔からずっと認識されてきたが、科学的には日本人が発見した「うま味」の「うま味成分」とはこれほどに凄いモノなのである!
それにしても思うのは、ウクライナ侵攻から二年を超えウクライナ兵士の死者3万1千人以上、ロシア兵士の死者5万人以上の合計8万人以上の兵士を殺したロシアのプーチン大統領や、自己防衛の手立てのない一方的な虐殺によりガザ市民を3万7千人以上を殺したイスラエルのネタニヤフ首相は、毎日の食事でシッカリと「うま味」を認識しているのであろうか?
一度、プーチンさんとネタニヤフさんのお二人に尋ねてみたいものである!
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