インド仏教復興運動の指導者として著名なインド共和国元少数者委員会仏教徒代表、1988年からは全インド仏教大会の大導師でもあられる佐々井秀嶺上人、御年88歳のお話である。
1966年からインドに住まわれ、今年で在印57年をお迎えになられる。1988年にはインド国籍も取得された元日本人のお方である。
実は20年ばかり前にどこかのテレビ番組で、佐々井秀嶺上人のインドでの御活躍を拝見し大いに感動したものである。それがつい先日にも、再びテレビの番組で佐々井秀嶺上人の大活躍を紹介しているのを拝見、なんとお元気なることかの驚きと懐かしさもあり、またまた大感激した次第である。
しかし、我が日本の外務省や文部科学省は、どうして今少しこのような方に注目しないのかがサッパリ分からない!その気になれば、いくらでも我国の外交や教育にその御縁を取り込んで生かすことが出来るはずである!
また一つ、我が日本の不思議を発見した気分になる!
インド仏教の復活は、独立後インド初の法務大臣で「インド憲法の父」とも呼ばれる、アンべードカル博士により始まった!
アンべードカル博士はカースト制度の最下層(ダリット)の家庭に生まれ、インドで3000年程続くヒンズー教による身分差別の因習を打破するための活動に尽力された。さら特筆すべきは、1956年12月にお亡くなりになる2か月前、インドのほぼ中央にあるナーグプルにて約50万人の人々と共に、ヒンズー教から仏教に集団改宗をされ、仏教復興運動を始められたのである!
そのナーグプルの集団改宗の場所は「ディークシャーブーミ」と呼ばれ、今も多くの巡礼者が訪れる。特に、毎年10月を目途に行われる大改宗式には、3日間で100万人にも及ぶ民衆が訪れるそうである。
佐々井秀嶺上人は、アンべードカル博士の没後10年目にその意志を引き継がれたことになる。
そしてインドの仏教徒は、この70年弱の間になんと約50万人から300倍にも増加、約1億5000万人となった!
いまでは我が日本の全人口を軽々と超える信者数である!
1954年 10 月の全インド放送において、アンベードカル博士は「自分の社会哲学は自由、平等、友愛であるが、これはフランス革命から学んだものではなく、わが師ブッダから学んだものである」と述べられた。現在の1億5000万人の仏教徒とは、まさにこのブッダの自由、平等、友愛の教えによるものであると言える!
インド仏教復興運動と日本人僧侶の知られざる関係 | 選報日本 (sejp.net)
追伸:興味と時間の許す方は是非下記の御一読を!
仏教史においては、孫悟空で有名な「西遊記」のモデルである「大唐西域記」を著した玄奘三蔵も630年頃に学んだナーランダー僧院が1193年に破壊されたその10年後、1203年に東インドの密教仏教の根本道場であったヴィクラマシーラ僧院が、またもやイスラム教徒の軍隊によって破壊され、多くの僧尼が殺害されたことをもって、インド仏教の終焉とみるのが大体一応の“常識”ということになってはいますが!