グルーミングとは、てっきりおサルさんやワンちゃんやニャンコちゃんたちがよく行う、「毛づくろい」行動だとばかり思っていました。
それが、性犯罪においては、子どもたちへの性的虐待を行おうとする者が、ターゲットにした被害者に近づき、親しくなって信頼を得る行為をさすという。
驚いた!
グルーミングという言葉に、これだけのダイバーシティがあったのだ!
そして思い出したのは、2021年10月5日のフランスでの聖職者による性犯罪の調査報告だ。
文春オンラインの記事では、佐藤翠さんがこんな風に解説してくれていた。
衝撃的だったのが、1950年以降、フランス国内では推計21万人以上の未成年者がカトリック教会の聖職者など3000人以上の加害者から性被害を受けたことが発覚したのである。
フランス国内で未成年時に性暴力を受けた被害者の数は1950年以降累計で550万人とされていることから、聖職者や教会関係者から未成年の時に性暴力を受けた人はフランスの性被害者全体の4%を占めることとなる。加害者としては、家族と友人の次に聖職者が多いということがわかったのだ。
性暴力は、一般的には男子と比べて女子の方が被害に遭いやすいとされている。しかしカトリック教会の聖職者による未成年への性暴力の被害者は、男子が80%、女子が20%を占めており、男子の割合が非常に高いことが特徴的だ。
この記事で特に印象的だったのは、フランスのカトリック教会による性虐待は、13歳以下の子どもが格好のターゲットとなってきた。報告書によると、初めて性被害を受けた年齢は、10歳から13歳が55%と最も多く、次いで9歳以下が22%と続く。
つまり、フランスのカトリック教会による18歳以下の未成年への性虐待は、全世代のうち93%と異常に高いということだ。
これは男女の比率を別にすると、今日本でも問題になっている、ネット社会における子どもへの性犯罪についても、まったく同じことがことが言える話である。
周りにいる善男善女の大人たちが、子どもたちを性犯罪から守るためになすべきことの一つは、この記事のようなことがいつ起きても不思議ではないことを、隠さずスマートに工夫した性犯罪の情報提供を通して常日頃から繰り返し伝えることである。
個人的には、バイブルとなるような子どもたちへの性犯罪対策の「絵本」が欲しい!
なお、次に思いついたのは今世間を騒がせている旧統一教会のような宗教自体のことである!
恐らく、ほとんどの宗教において、その宗教が新しい信者を獲得しようとする際に行うことは、まさしくこの「グルーミング」であると思える。
勿論、宗教の場合には「悪用」に限定することは出来ず、むしろ「善用」の方がはるかに多いとは言えるであろう。
しかし、行われる最初の「グルーミング」行為では、「悪用」か「善用」かの見極めは難しいのである。「そこ」が被害者の立場からすると、判断が難しいところなのである。
また、「そこ」が子どもたちに性的虐待を行おうとする加害者たちの「付け目」であり、「キモ」なのだ。
巧妙な加害者ならば、大の大人でも見事に騙されることもあり得るのである。
現実に、至極冷静になれば騙されないはずの、大の大人がおかしな銭ゲバ宗教に何人もハマってしまうのが現状である。
巧妙な加害者とは、「その道」ではプロフェッショナルであることを世間は肝に銘じておく必要があるのだ。
マジメに考えると、「あなたのお金を私に下さい」と言う神様などおられるはずがないではないか!
お金が欲しいのは、神様ではなく、目の前であなたに寄付を迫る「そのヒト」自身なのである。
「一つ私に下さいな」と言うのは、桃太郎の家来になりたいサルやイヌやキジの如きものたちのセリフである。子どもの頃の昔話は役に立つのだ。
1135夜 『非常民の性民俗』 赤松啓介 − 松岡正剛の千夜千冊 (isis.ne.jp)https://1000ya.isis.ne.jp/1135.html