どんな外交交渉においても、トランプ大統領は自身が得意とする「ディール」に持ち込むことが大好きだ!
そこで重要になるのが、トランプ氏の「個人的ディール感」を活かしつつ、キチンとその内容の文書化を確実にする5つの対応である!
外交交渉における成果をトランプ氏の個人的な“ディール”として演出しつつ、正式な文書化を後回しにさせない仕組みを作るには、プロセスの早期組み込みとトリガー設定が鍵となる!
以下の5つの対応を用いて、トランプ氏との交渉の熱量を損なわずに実務的な法的裏付けを確保すべきである。
1. 文書化プロセスを交渉フローに組み込め!
代替案の合意と同時に「ドラフト覚書(MOU)」を即座に作成 。交渉開始時点で「ドラフト承認トリガー」を設定し、合意が出た瞬間にスタッフが文案を起こす 。
大統領への最終サインを「ディールクロージング(Deal Closing)」の一部として位置づける。
2. 制度的ガバナンスを上手く利用し、効果を最大限に引き出せ!
ホワイトハウス執行命令やNSCまたは国務省トップ声明などを利用して、「大統領交渉に関する書面化の義務」を実質的に明文化させる 。
共同プレスリリースや閣僚署名入りの合意付属文書を作成し、互いに拘束力を担保し、国務省・法務省の合同ワーキンググループを常設させ、交渉記録のレビューとドラフト作成を実行させる。
3. トランプ流“ディール感”を演出ポイントに転換せよ!
サイン式や記者会見を交渉のクライマックスに据え、メディアへの露出を担保する。
大統領執務室での“署名ショット”をディール成立の公式イメージとし、同時に覚書を締結 する。
「ディール成功=署名=法的文書化」という流れを一連のパフォーマンス化 とする。
4. 成果の可視化とKPI(Key Performance Indicator 重要業績評価指標)を設定せよ!
文書化率(合意後に正式文書化された案件の比率)を大統領日次報告に含める 。
「文書化スケジュール」「ドラフト完成率」「承認ステータス」を可視化するダッシュボードを提案し、各案件ごとに「文書化スケジュール」を定め、進捗を週次レポートで捕捉させる。週間ダッシュボードを作成し、トランプ氏自身が数字を確認できる仕組みを導入 する。
「いくつ署名したか」「どの条約が議会審議に回ったか」を明確に示すグラフ化 する。
5. 議会承認までのロードマップを共有せよ!
交渉段階で合意した内容が、サイン後に「議会で止まる」「修正される」「予算化されない」といった中断リスクを防ぐために、交渉チームが、議会リーダー向けに文書案のブリーフィングを実施する。
超党派のコンセンサスを取るためのワーキングディナーや懇談会を定期開催 する。
批准プロセスの各ステージで必要な手続きを「チェックリスト化」し、スタッフが常時フォローする。
これら5つの対応を組み合わせることで、トランプ氏の個性的な交渉スタイルを尊重しつつ、必須の文書化作業を滞りなく進められる。しかし、これらの対応を実現させるには、相当な外交努力と外交能力を要することは間違いない!
8月15日には、4年振りにアラスカで開催される予定の米国とロシアの二国間協議、即ちトランプ氏とプーチン氏のディールに、ウクライナ代表が十分に関与できないまま、二人の立場だけで条件が詰められてしまうと、ウクライナの立場・国益が置き去りにされかねないと、ゼレンスキー大統領は今頃大いに悩んでいることであろう。
ウクライナ代表がしっかりと参加する際には、是非ともこのトランプ大統領の「個人的ディール感」を活かして、正式な文書化を後回しにしない仕組みを生かしてもらいたい!
何でもディールで解決するトランプにモヤモヤするのはなぜ?社会学に見る取引と交換の原理|@DIME アットダイム