味覚受容体は、1999年に初めて哺乳類から同定された!
そう、たった僅か25年前の発見なのである!
さらに、2000年には「グルタミン酸受容体」が発見され、これにより「うま味」の実在が世界で認知されるようになった!
つまり味覚受容体の発見は、最近の分子生物学的手法とゲノムプロジェクトの進展によって初めて可能になったのである!
この味覚受容体の発見により、味覚の分子生物学的な理解が大きく進展した!
味覚受容体とは、我々の舌の味蕾にある特殊な細胞で、食べ物の味を感じるために使われるセンサーである。これらの受容体は、食べ物からの化学物質を検出し、それを電気信号に変換して脳に送る。このプロセスによって、我々は甘い、酸っぱい、苦い、塩辛い、旨味(うま味)といった味を識別することができる。
味覚受容体には主に2つのタイプがある。
- 「Gタンパク質共役型」
これらは主に甘味、苦味、旨味(うま味)を感じるのに関与している。これらの受容体は、味分子が結合するとGタンパク質を活性化し、細胞内のシグナル伝達経路を開始する。 - 「イオンチャネル型」
塩味と酸味を感じるのに関与しており、味分子が直接イオンチャネルを開くことで作用する。
味覚受容体は、食べ物の味を感じるだけでなく、栄養素の摂取を調節したり、有害な物質を避けるための重要な役割も果たしている。
興味深いことに、味覚受容体は舌だけでなく、『消化管や膵臓など体の他の部分にも存在する』ことがわかっている。これらの受容体は、消化や代謝に関連するホルモンの分泌を調節するのに役立っているのだ!
あらためてこの味覚受容体についてAIに尋ねると、こんな風に教えてくれた!
味覚受容体の発見は、味覚受容体が味細胞に発現する7回膜貫通型の「Gタンパク質共役型受容体」として特定されたことによります。
さらに味覚受容体の観点からすると、人間や大型のサル(ゴリラやチンパンジーなど)がうま味の「グルタミン酸」を好む理由は、進化の過程で彼らの味覚受容体が変化した結果とされています!
もともと霊長類の祖先は昆虫を主食としており、昆虫に含まれる「ヌクレオチド」に強いうま味を感じていました。しかし、体が大型化した霊長類は、葉に含まれる「グルタミン酸」に強いうま味を感じるよう進化しました。
この進化は、大型の霊長類が昆虫では補えないタンパク質の「量」を確保するために、葉を多く食べるようになったことに関連しています。
葉は本来苦くておいしくないものですが、「うま味受容体」が「ヌクレオチドセンサー」から「グルタミン酸センサー」へと変化したことで、新しいタンパク質供給源として葉をおいしく利用できるようになったと考えられます!
また、「グルタミン酸」は神経伝達物質としての機能を持ち、脳の正常な機能を維持するために必要です。学習能力や記憶力の向上、筋肉のエネルギー供給にも関与しており、健康食品やサプリメントとしても利用されています。
したがって、人間や大型のサルがうま味の「グルタミン酸」を好むのは、進化の過程で彼らの食性が変化し、葉を主要なタンパク質供給源として利用するようになった結果、「グルタミン酸」に対する味覚受容体が進化したためと考えられます。これにより、葉を含む植物性食品の旨味を感じる能力が発達したのです。
進化的な視点から見た味覚受容体の変化は、生物がその生息環境や食性に適応する過程で起こります。味覚受容体は、食物を識別し、有害なものを避け、栄養価の高いものを選ぶために重要な役割を果たしています。このため、異なる環境や食性に適応するために、味覚受容体は進化の過程で変化してきました。
例えば、霊長類の食行動と味覚受容体の進化に関する研究では、苦味受容体TAS2Rsや甘味・うま味受容体TAS1Rsが発見されたことで、味覚の研究が遺伝子・タンパク質のレベルに発展しました。これらの受容体は、食物中の特定の化学物質に反応して、苦味や甘味などの味覚を感じることを可能にします。
進化の過程で、特定の食物成分に対する感受性が変化することがあります。例えば、肉食動物では甘味受容体を構成する遺伝子に変異が生じ、甘味を感じる能力が失われることがあります。一方で、草食動物や雑食動物では、甘味や苦味を感じる能力が保持されたり、さらに発達したりしています。
また、食物を丸飲みする海洋哺乳類では、味覚受容体が機能を失っていることがあります。これは、食物を噛んで味わう必要がないため、味覚受容体が進化の過程で退化したと考えられています。
このように、味覚受容体の変化は、生物がその生息環境や食性に適応する過程で起こり、食物の選択や摂取行動に影響を与えています。
進化の過程で生じた味覚受容体の変異が、個体の味覚感受性を決定し、食行動に影響を与えることが示唆されています!
これらの知見は、味覚受容体の分子レベルでの研究に寄与し、食行動との関連を解明する上で重要な意味を持っています。
最新の研究によると、小型のサル(テナガザルやフクロテナガザルなど)が虫から得るうま味は、「ヌクレオチド」に由来する可能性が高いとされています。霊長類の祖先は昆虫を主食としており、昆虫に含まれる「ヌクレオチド」に強いうま味を感じていたことが示されました。特に、イノシン酸やアデニル酸などの「ヌクレオチド」が、昆虫に豊富に含まれていることが知られています。
これらの「ヌクレオチド」は、昆虫の肉質に含まれるうま味成分であり、小型のサルが虫を食べる際に感じるうま味に大きく寄与していると考えられます。昆虫にはアデニル酸などの「ヌクレオチド」がたっぷり含まれており、これが小型のサルにとってのうま味源となっているのです。
したがって、小型のサルが虫から得るうま味は、「ヌクレオチド」によるものであると言えるでしょう。この発見は、サルの味覚の進化と食性の関係を理解する上で非常に興味深いものです。
もっとも、人間もうま味の「ヌクレオチド」を好む傾向があります!
「ヌクレオチド」は、うま味成分として知られる「グルタミン酸」とともに、食品の風味を強化する重要な役割を果たしています。特に、イノシン酸やグアニル酸などの「ヌクレオチド」は、肉や魚などの動物性食品に含まれるうまみ成分であり、これらが相乗効果を生み出して食品の味わいを豊かにしています。
日本の伝統的なだしの風味は、昆布に含まれる「グルタミン酸」と、かつお節に含まれるイノシン酸の組み合わせによるものです。この組み合わせによって、深いうま味が生まれ、日本料理の基本となっています。また、「ヌクレオチド」は、免疫機能のサポートや腸内環境の改善にも関与しているとされており、健康に対する利点も提供しています。
したがって、人間がうま味の「ヌクレオチド」を好むのは、食品の味を向上させるだけでなく、健康にも良い影響を与えるためです。このように、「ヌクレオチド」は味覚だけでなく、生命活動においても重要な役割を担っているのです。
霊長類におけるグルタミン酸の旨味の起源 ―体の大きな霊長類は旨味感覚で葉の苦さを克服― | 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部 (u-tokyo.ac.jp)
霊長類におけるグルタミン酸の旨味の起源 -体の大きな霊長類は旨味感覚で葉の苦さを克服- | 京都大学 (kyoto-u.ac.jp)