うま味(umami)は、日本で発見された基本味の一つである!
基本味とは独立した5つの味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)のことだ!
今や「うま味」は、世界で大人気の「和食」に欠かせない味として世界中に知られている!
うま味(umami)の科学的な発見は、1908年に東京帝国大学の教授であった池田菊苗が、だし昆布からグルタミン酸を発見したことに始まる。この発見により、味覚の一つとしての「うま味」が確立した。
さらに1913年には、鰹節からイノシン酸がうま味成分であることが確認され、1957年にはシイタケからグアニル酸が新たなうま味成分であることが発見されたのである。
もともと日本の料理では豆や穀類、魚介類を原料にした発酵食品やしいたけ、昆布、魚介類の乾物などが主流であった。
これらの食材は、「うま味」を豊富に含んでおり、特に日本の水田稲作地帯では、これらの発酵調味料が「うま味」と「塩味」を加える調味料として毎日の食事に欠かせないものとなっていた。
もちろん、お隣の中華料理においても「うま味」の歴史は、日本の「うま味」と密接に関係している。うま味は、アジアの料理においては昔から欠かすことのできない存在である。
つまり、「うま味」を科学的に発見したのは日本ではあるが、「うま味」そのものはアジア料理に昔から伝わる伝統的な味なのである!
一方、西洋では生乳や肉を原料としたチーズや生ハム、トマトなどの「うま味」が料理に使われているが、アジアのように発酵調味料に依存することは少なく、「うま味」に対する意識も異なっていた。
もっとも西洋においても、ギリシア時代や古代ローマ帝国では「ガルム」や「リクアメン」と呼ばれる魚醤が貴重な食材として使われていた。しかし、ローマ帝国の滅亡とともにこれらの調味料は姿を消し、その後の西洋料理においては「うま味」が意識されることがほとんど無くなったのだ。
つまり、「うま味」は西洋においては、忘れられた味、意識されなくなった味となっていたのである!
ただし、ガルムは古代ローマの滅亡とともに歴史の表舞台からは姿を消したが、その製造方法や使用法は、現代の魚醤にその精神を引き継いでいると言えるかも知れない。現代でも、タイのナンプラーやベトナムのヌクマムなど、ガルムに似た魚醤がアジアの食文化で重要な役割を果たしている。
そんなことから、うま味成分に対する東洋と西洋の考え方の違いもあり、ローマ帝国の滅亡後は欧米では長らく「うま味」の存在が認められていなかった!
しかし、1997年に開かれた嗅覚・味覚国際シンポジウムで「うま味」が5番目の基本味として認められ、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたこと、国際的に活躍する日本人シェフたちの影響などにより、世界中で「うま味」に対する意識が高まったのだ!
そう、西洋においてもローマ帝国以来途絶えていた「うま味」が復活したのである!
東洋と西洋では「うま味」に対する意識や食文化が異なっていたのは、歴史的背景や食材の利用方法、さらにはうま味成分に対する科学的理解の違いによるものと言える。現在では、「うま味」は世界中で認識され、多くの料理で重要な役割を果たしている。
さらに、最近の科学で分かって来た話として、この「うま味」を感じることができるという能力が、なんと動物の進化そのもに深く関る話らしいのである!
「うま味」、ますます恐るべしである!
無形文化遺産の「和食」に世界が注目する背景は? その影響と理由を再確認 – HATCH |自然電力のメディア (shizen-hatch.net)