能の舞台において左手に長く伸びた廊下のことを、「能の舞台」と「鏡の間」に掛け渡された橋という意味合いから、「橋掛り(はしがかり)」と呼ぶ。
この「橋掛り」とは、能においては「あの世とこの世を繋ぐ橋」を意味するのである!
言わば「橋掛り」とは、まるでタイムマシンであり、ドラえもんの「どこでもドア」でもあるのだ!
「橋掛り」は、実に凄い、誠にAWESOMEなのである!
「橋掛り」は、正面から向かって左側にあって、本舞台に対して真横にではなく、やや後方から手前の方へ角度を付けて設置されている。 これは舞台に奥行きがあるように見せるための工夫であり、演技の際にも、遠くから現れてくるように見せるといった遠近効果があるのだ。
能舞台は、「本舞台」と「橋掛リ(はしがかり)」から成り立っている。
①舞台が正方形であること、②「橋掛リ」があること、③客席の中に舞台が突き出ていること、以上の3点は、昔から変わらぬ、能舞台の本質的な特徴である。
また、能舞台は三方吹き抜けで、三間[約5.5メートル]四方の大きさ、4本の柱で囲まれている。 舞台の斜め後方に「橋掛リ(はしがかり)」があり、主に登場人物の入退場に用いられる。 また、舞台の正面「鏡板(かがみいた)」には、大きな松が描かれているのも大きな特徴である。
なお、舞台の三間四方の本舞台には檜(ひのき)の板が縦に張られている。檜の板は見事に足で踏む音を響かせるのである。
さらには、なかなか見ることはないが、本舞台や後座、「橋掛り」の床下には、地面に数か所穴が掘られ、そこに直径1メートルほどの大きな甕(かめ)が斜め上向きにいくつも置かれているのである。
舞台上の演者が踏む足拍子、笛や太鼓の音色などで発生する空気振動が、甕の空洞の中に伝わり、いろいろな方向に反響することで、深みのある音を作りだすと言われているのだ!
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