日銀の政策目標とは、「物価の安定」を図ることと、「金融システムの安定」に貢献することである。
なお、日本銀行法の第一章総則(目的)にはこうある。
第一条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
2 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
日本銀行の目的は何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)
FRBの政策目標とは、「雇用の最大化」、「物価の安定」及び緩やかな長期金利という目標を効果的に促進するため、経済の長期的な生産増加の可能性に見合った貨幣及び信用総計の長期的な成長を維持すること。
連邦準備制度理事会 – 金融政策 (federalreserve.gov)
連邦準備制度理事会-セクション2A。金融政策の目的 (federalreserve.gov)
ECBの政策目標とは、「物価安定」の維持。ただし、物価安定の目的に反しない限りにおいて、EUの全般的な経済政策(経済成長や雇用の増大等)を支持すること。
「物価の安定」は、いづれの中央銀行も等しく、その政策目標として掲げるものである!
しかし、それ以外には違いがあることが一目で分かる!
日銀では、「金融システムの安定」。FRBでは、「雇用の最大化」である。ECBでは、「EUの全般的な経済政策(経済成長や雇用の増大等)を支持」なのである。
すぐに分かるように、日銀だけは「雇用の問題」に直接触れていないのである!
とは言え、日銀が「雇用の問題」を考えていないという訳ではないはずだが、FRBやECBの如くハッキリと直接の目標とする方が、令和の時代の国民にはモット分かり易いのではなかろうか!
日銀の目標とする「金融システムの安定」とは、中央銀行としての仕事の役割の中に当然のこととして含まれていると、子どもでも分かることではないか!
だからこそ、当然のこととして、FRBやECBはわざわざ目標として掲げていないだけの話であろう!
日銀に対して、特に問題であったと思い起こすのが、1991年頃から2005年頃までに生じた「就職氷河期」のことである!
勿論、「就職氷河期」の責任のすべてが、日銀にあるのではない。しかし、その責任は大きいのである!
今後そのような事態を避けるためにも、日銀は国民に対して明確に「雇用の最大化」にも責任を持ち、自らが担って行くことをハッキリと宣言すべきである!
なお余談ながら、お隣の中国の中央銀行である中国人民銀行(PBOC)の政策目標は、4つの政策目標がマンデートとして付託されている。すなわち、①物価の安定を維持すること、②経済成長を推進すること、③雇用を促進すること、そして④国際収支の基本的なバランスを維持することである。
今朝の日経新聞によると、中国国家統計局が発表した6月の若年失業率は21.3%と三カ月連続で過去最高を記録した。5年前の2018年6月の10.0%から2倍以上に跳ね上がり、就職難は年々深刻になっている。
是非とも中国人民銀行(PBOC)の、③雇用を促進することにおける大活躍を期待したいものである!