今月の8日に10年間の仕事を終えられ、静かに退任された黒田前日銀総裁!
そんな静かな音なしの構えではあったが、まさに立つ鳥跡を濁さずへの思いを感じた出来事があった。
というのは、昨年から市場で話題に度々上って来た海外ファンド勢の日本国債の空売り(カラウリ)問題のことである。
このブログでも今後の日銀の課題として年初から指摘してきた問題である。
それが植田新総裁が就任されてまだ半月ばかりの内に、ほぼ問題が解消という状況になっているのである!
個人的には解決にはもっと時間がかかるものと予想していたが、予想外のスピードで解消したのである。
1月の外国人投資家による国債の売り越し額は、4兆1190億円と過去最大となり、3月上旬には売り越し額がさらに増え5兆円ほどになっていた。
それが、わずか1ヶ月半ほどで4000億円弱まで減少したのである。
その理由は、2月16日の日銀による国債貸出制度における突然のルール変更であった!
それまでは国債を空売りする外人投資家が、売るために借りる国債の日銀の品貸料は年率0.25%であった。それが突然年率0.25%から4%超と一気に高騰したのである。
これにより、証券会社が海外ファンド向けに貸す品貸料も連動して急上昇し、なんと年率10%程になったそうである。
これにたまりかねた海外投資家が大急ぎで国債を買い戻した次第である!
その結果、現在では10年国債の大量売りで、日銀に挑もうとする海外投資家はもはやいなくなった模様である!
黒田前日銀総裁は、沈黙の中において「一つのミッション」を実行されたのであった!
黒田前日銀総裁の10年間の任期中、目標とした2%のインフレは逃げ水のごとくに消え達成はならず、日銀の保有する国債は実に500兆円を超えた。
せめて、国債の空売り問題だけでも何とか処理しておきたいという強いお気持ちがあったように思うのだ!
これが、黒田前日銀総裁の立つ鳥跡を濁さずへの思いと感じた次第である!
さらなる感想を添えると、黒田前日銀総裁に「必殺仕掛け人シリーズ」の続編ドラマを見せて貰ったような気分だ(笑)
10年物国債のカレント3銘柄にかかる金融市場調節面の措置について (boj.or.jp)
week.pdf (mof.go.jp) 報道発表・財務省令 和 5 年 4 月 27 日対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)