米国社会の二極化を考えるその前に、米国の人口推移を日本及び中国との3ヵ国間で比較して眺めてみる。
世界経済における第1位、第2位、第3位の上位3か国における人口推移の比較である!
日本の人口をベースに、日米中の対比で比べてみる。
第二次大戦の5年後、1950年の人口は日本が8400万人、米国は1億5700万人と約2倍、中国は5億5200万人と約7倍、「1対2対7」であった。
1975年では、日本が1億1500万人、米国は2億2000万人とこの時も約2倍と変わらず、日米は共に順調に人口が増加の流れにある。中国は著しい人口増加で9億2400万人となり約8倍、「1対2対8」であった。
そして、2000年には、日本が1億2600万人、米国は2億8200万人となり2倍強となる、一方中国は12億6700万人と約10倍、「1対2対10」となる。
しかし、2010年には日本が1億2700万人の微増に対し、米国は3億900万人と2.5倍弱へと増加していく、中国は13億4000万人と11倍弱、「1対2.5対11」。
2020年には日本は1億2500万人、米国は3億3100万人となり、日本は10年前より減少するが、米国はしっかりと増加して3倍弱となる、中国は14億1200万人と11倍強となり、「1対3対11」。
2000年以降日本の人口増加は停滞基調から減少へと向かうが、米国の人口増加は堅調に推移している。人口政策により中国の人口増加スピードが緩やかに制限される。一方、米国の人口増加スピードは着実に加速していたのである。
ちなみに、2000年以降のこの日本の人口減少への流れが、日本を今の「高齢化最先進大国」、つまり「日本人約3人のうち1人は65歳以上の老人」への流れを決定づけたのである!
他方、米国はそんな風には陥っていないのである!
そのような人口全体の流れの中で、米国内の人種構成比を覗いてみると、2000年には白人69.1%、ヒスパニック系12.5%、アフリカ系12.0%、アジア系6.4%であった。
2010年では白人63.7%、ヒスパニック系16.3%、アフリカ系12.2%、アジア系7.8%、である。
それが2020年では、白人57.8%、ヒスパニック系18.7%、アフリカ系12.1%、アジア系11.4%となり、米国建国以来の白人の比率が半分の50%にさらにダンダンと近づきつつあるのだ。
恐らく2030年には、白人の比率が半分の50%を割る可能性は極めて高いと思える!
さらに2040年をイメージすると、白人の比率はもはや40%をも下回るのかも知れない!
そうなると人口的な見方からは、もはや米国は建国以来初めて白人たちの国では無くなるのだ!
白人の米国ではなく、多様な人種の米国になるのだ!
まさにこの米国内の「人種構造の大転換」に対する見通しを思う時、現在まだ多数派である白人たちの胸中には、「ノスタルジアや落胆や怒りや苛立ちや不安や恐れや諦め」などの思いが複雑に混じり合い様々な音色となって、心の中で奏でられていることであろう。
この白人たちが奏でる、現在の「心の中の音色の重なり合い」こそが、現代米国社会における「通奏低音の主旋律」だと思えるのである。
そして同時に、その白人の主旋律に反応してヒスパニック系、アフリカ系、アジア系の中に、それぞれの「心の中の音色の重なり合い」である「3つの副旋律」が生じ、これが「白人の主旋律」と重なり合う。この「主旋律と3つの副旋律を重ねた音色」こそが、今現在の米国社会の二極化の中に聴こえる『通奏低音』であると思うのだ!
経済的な勝ち組であろうが負け組であろうかを問わず、米国ではみんなが、この主旋律と3つの副旋律から成る『通奏低音』を常に聴きながら、あれやこれやと各人各様の判断をモノやコトに対して下している時代なのだ。
現在まだ人種的多数派である白人たち、つまり米国の半数以上の人々が、自信家であれそうではない人もみんなが思考や行動に、この聴こえて来る『通奏低音』の影響を大なり小なりに受けざるを得ない時代なのだ。
その結果を象徴するものとして、今の米国議会における民主党と共和党の双方が拮抗する、埒が明かない政治状況が存在するのであろう。
そうであるならば、この状況は軽く10年以上は続くであろう。問題の解決は、20年程後に実際に米国が「人種構成の上で白人の国ではなくなる時代」、即ち次の世代に任せるしかない可能性が極めて高いと思えて来る。
しかし、そんな状況をもっと早く米国の人々が打開したいのならば、個人的にはある一つのアイデアが浮かび上がる!
それは、「文化の力」である!
具体的には、米国の人々がみんなで米国の歴史を本気になって振り返ることを選択することである。ただし、歴史と言うのは「わずか250年程の米国建国以来の歴史」のことではなく、「遥か2000年前や3000年前からのスパンで見る米国の歴史」のことである。
白人の植民地となる以前から、今の米国という大地は間違いなくずっと存在しており、人々が平和に暮らして来たのだ!
「わずか250年程の米国建国以来の歴史」は明らかに、侵略者としての白人サイドから見た歴史とも言えるものである。
米国の歴史の概要|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN (americancenterjapan.com)
他方、「遥か2000年前や3000年前からのスパンで見る米国の歴史」は、ネイティブアメリカンを始めとした、いまだ明らかにされていない大いなる多様性を秘めた豊かな歴史であることは間違いない。
是非、白人もヒスパニック系、アフリカ系、アジア系もみんなで一緒に、本来の米国の歴史である「遥か2000年前や3000年前からのスパンで見る米国の歴史」をジックリと顧みるべきである。そして、その本来の歴史こそを今を生きる米国の人々全員の共有財産となすべきなのだ。その中にはもちろん近現代史としての「わずか250年程の米国建国以来の歴史」も含まれているのは当然のことである。
きっと現在の米国に生きる人々にとって、今の時代だからこそ初めて見えて来る、米国という国の歴史の新たな実像が垣間見えて来るのではなかろうか!
そして、その垣間見えた新たな実像は、軽々と人種のカベを乗り越え、米国の人々に「新たな意味を持つ結びつき」をもたらす可能性があるのではなかろうか!
例えば、21世紀の今の時代になぜ米国だけが、いまだに各家庭においてこれほど数多のライフルや拳銃を保有しなければならないのか?そんな大きな謎の理由もシッカリと分かるであろう!
余談ではあるが、日本においては米国建国のおよそ200年前、1588年の豊臣秀吉の「刀狩り」に始まり、続く「約250年間戦争のない平和を維持した徳川幕府の時代」を通しても、ずっと刀や銃器への厳しい国家統制は継続され続けた!
それが、今の21世紀の時代にも継続しているのである!
負けるな米国、太閤秀吉に!とつい言いたくなってしまう!
しかし、米国の「文化の力」を信じている!
それは恐らくこの日本が、2000年程前から1000年程前にかけて、現実に体験して実現させたであろう「文化の力」と多分同じだという思いからである!
米国の歴史の概要 – 初期の米国|About THE USA|アメリカンセンターJAPAN (americancenterjapan.com)
参照1:1 高齢化の現状と将来像|令和4年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府 (cao.go.jp)
参照2:米国有権者の人種別構成、ヒスパニック系の増加が顕著(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ (jetro.go.jp)
参照3:米国勢調査の最新結果から人口動態変化を読み解く | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ (jetro.go.jp)
参照4:countryreport_comparison_basicdate_JUE.pdf (meti.go.jp)
参照5:人口の推移(1980~2022年)(アメリカ, 日本) – 世界経済のネタ帳 (ecodb.net)
参照6:RIETI – 少子高齢化が加速する中国-日本との比較を中心に-
フロンティア・スピリット(frontier spirit)!