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鎌倉殿の13人を超えて「御成敗式目」!

「御成敗式目(ごせいばいしきもく)」は、鎌倉幕府がスタートして50年程後の1232年(貞永元年)の鎌倉時代に、源頼朝以来の先例や、道理と呼ばれた武家社会での慣習や道徳をもとに制定された、武家政権のための法令(式目)である。「貞永式目(じょうえいしきもく)」とも呼ばれる。
1221年(承久3年)承久の乱の勝利を経て、鎌倉幕府の権力は東国だけでなく西国をも含めた全国に及ぶこととなった。
承久の乱の直後から京の六波羅探題を務めた北条泰時は、「武家」が日本全国を統治する上で、指標となる道徳や倫理観、そして慣習が各地で異なることから、是非とも新たに武家社会、武家政権を統一する為の裁判規範が必要だと考えたのである。

なお、細かなことではあるが1232年(貞永元年)の「泰時消息文」には、はじめ「御成敗式目」を「式条」と呼ばせたが、朝廷の律令をはばかって「式目」と改めたことが記されている。

司馬史観とも呼ばれていた作家の司馬遼太郎さんが確かよく、「今の日本人の考え方の原型が出来たのは鎌倉時代かと思う。」と仰っていたことを思い出す。

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そんな思いに浸りながら「御成敗式目」51ヶ条をまた覗いてみると、やはり冒頭の第1条にいつもナルホドと納得するのだ。

第1条「神社を修理し、祭祀を専らにすべき事」の中にあるのが
「神は人の敬ひによりて威を増し、人は神の徳によりて運を添ふ。」である。

つまり、「人が神様を敬えば敬うほど神様の御威光は増し、そのお陰で人は神様の徳により運に恵まれることになる」とハッキリと法律の一番最初に書いてあるのだ!

幼い頃おばあちゃんからも「神さんはエライんや!ちゃんと拝みや!」と何度も諭されたことを思い出す。

我々日本人がごく自然によく神社仏閣に御参りする習慣があるのは、鎌倉時代に出来た法律「御成敗式目」に今も誠に忠実であるからだと言える。

まさに800年間続く我々日本人の「コンプライアンス遵守」の伝統である!

「御成敗式目」の制定当時、公家には、政治制度を明記した律令が存在していたが、武家を対象とした明確な法令はなかった。
「泰時消息文」によれば、公家法は漢文で記されており難解であるので、武士に分かりやすい文体の法律を作ったとある。

その為、鎌倉幕府が強権をもって法律を制定したというよりも、むしろ御家人の支持を得るために制定した法律という性格を持つのだ。

また、鎌倉幕府制定の法と言っても、それがただちに御家人に有利になるという訳ではなく、訴訟当事者が誰であっても公正に機能するものとした。それにより、武家ではない荘園領主側である公家や寺社にも御成敗式目による訴訟が受け入れられてその一部が公家法などにも取り入れられた。

その結果、なんと「御成敗式目」は鎌倉幕府滅亡後においても、法令としてはずっと有効であり続けたのだ!

この事実こそが、「御成敗式目」第一のスゴミである!

足利尊氏も「御成敗式目」の規定遵守を命令しており、室町幕府において発布された法令、戦国時代に戦国大名が制定した分国法も、「御成敗式目」を改廃するものではなく、追加法令という位置づけであったのだ。
さらに「御成敗式目」は女性が御家人となることを認めており、この規定によって戦国時代には女性の城主が存在し、井伊谷城主の井伊直虎、岩村城主のおつやの方、立花城主の立花誾千代、淀城主の淀殿などが知られることになる。
江戸幕府による「武家諸法度」の施行に至って武士の基本法としての位置づけを譲ることになるが、法令としての有効性には変わりなく、明治時代以降に近代法が成立するまで続いた!

また、広く武家法の基本となっただけでなく、優れた法先例として公家・武家を問わずに有職故実の研究対象とされた(「式目注釈学」)。
もっとスゴイことは、江戸時代には庶民の習字手本として民間にも大いに普及したことだ!

世界中で庶民が「自国の法律」を書き写して文字の練習をした国は、まず日本しかないであろう!

江戸時代後期、江戸の識字率は約80%、ロンドンが約25%、パリが約2%と言われており、ダントツで江戸が世界一だ!

あの黒船のペリーさんも日本人の識字率の高さに、アメリカ人もビックリだったそうである!

蛇足ながら、二日前の12月10日に「旧統一教会 被害者救済法案 」が国会で可決された。

しかし、人にお金をせびる神はどこにもいない!

お金をせびるのは、神の名を利用する我々と同じ人間しかいないのである!

とにかく間違いないことは、神を敬うには、お金ではなく心で敬うことにするのが一番よい方法であると言える!

参照1:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』御成敗式目

参照2:コトバンク 日本大百科全書(ニッポニカ)御成敗式目(全文)の解説

1804夜 『明恵上人集』 明恵 − 松岡正剛の千夜千冊 (isis.ne.jp)

作成者: 鈍偶斎

還暦は過ぎたるも、心は少年の如くありたいと願っています!


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