誰もが日がな一日多くの情報を得て、その常識を失っている。「Everybody gets so much information all day long that they lose their common sense」
まさに今ネットに溢れる情報過多の時代を的確に表した名言だ!
誰の言葉かと気になり調べてみて驚いた!
なんとおよそ80年も前の1946年に亡くなっていた小説家・詩人のガートルード・スタインの言葉だったのだ!
ガートルード・スタイン(1874年生れ~1946年没)は、アメリカの小説家、詩人、演劇作家、アートコレクター。
ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊にあるアラゲイニー=ウェストで生まれ、カリフォルニア州オークランドで育ち、1903年29歳でパリに渡り、以後はフランスで人生を過ごした女性だ。
そんな彼女はパリの芸術サロンの主催者としても大活躍、彼女のサロンには後年有名になるパブロ・ピカソ、アーネスト・へミングウェイ、アンリ・マティス、スコット・フィッツジェラルド、シンクレア・ルイス、エズラ・パウンド、シャーウッド・アンダーソンなど、さまざまなジャンルの若い芸術家やモダニストたちが集まった。
まだ売れずに無名であった若き日のピカソやマティスたちの作品を、ガートルード・スタインはいち早く評価して購入し支援を行った。彼らはガートルード・スタインの卓越した鑑識眼を通して有名になり、20世紀を代表する画家となったのである。
作家のヘミングウェイもまたそうであった。ヘミングウェイたち20世紀前半のアメリカ人作家は「失われた世代(ロストジェネレーション)」と呼ばれているが、その名前を生み出した人物こそがガートルード・スタインであった。
彼女がパリ郊外の車工場に修理した車を取りにヘミングウェイと共に訪れた時、まだ車は治っておらず、部下の担当者に工場長が「お前たちは自堕落な世代だな」と言った時の言葉を、ガートルード・スタインはヘミングウェイたち若き作家に言い換えて「失われた世代」と表現したのだ。その言葉はヘミングウェイの長編デビュー作『日はまた昇る』の冒頭に掲げられている。
ガートルード・スタイン自身の作品の中で、特に世間によく知られている2つの言葉がある。
1つめは最も有名な言葉で「薔薇が薔薇であるということは、薔薇は薔薇であるということである」「A rose is a rose is a rose is a rose」で、これは一般的に確固たるアイデンティティの主張を意味している。
2つめが「そこにはそこが無い」「There is no there there」である。これは目指す場所にたどり着いたとしても、そこには何もなかったことが分かるというような意味である。転じて、たどり着くまでの過程の方が大切という意味ともとれる。
彼女が著した本の主題はレズビアンであった。1903年に出版した『Q.E.D.』を含め彼女の本の内容は彼女の友人たちと関わりのあるレズビアン・ロマンティック小説。また、レズビアン同士の三角関係の『三人の女』(1905–06)などが代表作である。
なお、スタイン自身がレズビアンであることカミングアウトしており、パートナーが前衛芸術家(アバンギャルド)のアリス・トクラスであった。
参照1:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
参照2:Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典
【美術解説】ガートルード・スタイン「ピカソやマティスを支えた近代美術最大のホステス」 参照3:パリ観光サイト「パリラマ」ガートルード・スタインの家