今年2022年1月には1ドルが115円程でありましたが、7月の今では1ドルが138円程度の円安に、つまり日本の円の価値が随分減っています!その結果、我々日本国民はグローバルな観点からは年初よりも貧しく貧乏になったのが今の現実です!
さはさりながら、円安や円高やと言う前に理解しておくべき歴史があります!
それは円とドルの競争の歴史です!
御存知のように米国の建国は1776年、日本の明治維新はその約百年後の1868年です。
明治維新とは言いますが、決してゼロから始まった訳ではありません。260年に及ぶ世界を見渡しても極めて稀な「平和」を維持した我国の江戸時代、その徳川幕府の遺産をまるごと引き継いでスタートしたのが明治維新です。
みんなが知っている米国艦隊の黒船来航、ペリー艦隊がやって来たのは江戸時代の終わりに近い1853年でした。ところが、米国ではこれもみんなが知っているリンカーンの奴隷解放、米国内戦の南北戦争が勃発し1861年から1865年まで続きました。その間は日本のことなどにはとても構っておれない状況だったと思います。
なお、幕末に咸臨丸で勝海舟や福沢諭吉が米国に行ったのは、その南北戦争のまさに直前1860年のことでした。
ちなみに、この南北戦争という米国内戦による米国人犠牲者は約62万人!米国が関わった多くの戦争の中でも最大の犠牲者数でありました!
日本人の犠牲者が約310万人(軍人230万人、民間人80万人)もあった第二次世界大戦の大東亜戦争における米国人犠牲者は約30万人(ほぼ軍人のみ)、またベトナム戦争での米国人犠牲者は約6万人(ほぼ軍人のみ)でした。
戦争と疫病は比較にはなりませんが、今回の米国人コロナ犠牲者は2022年5月時点で100万人を超えているのは誠に大変なことです。
閑話休題、円とドルの話に戻ります。
1871年(明治4年)の新貨条例により、1円=1米ドルと定められました。
これは1869年(明治2年)から、後に早稲田大学を創設した大隈重信(第8代内閣総理大臣・第17代内閣総理大臣)が中心となり、江戸時代の「両」から明治時代の「円」への切替を準備してきた総仕上げでありました。
また話が脱線し恐縮ですが、米国という国は誠に合理的な国であります。アメリカ合衆国国勢調査(United States Census)は、アメリカ合衆国憲法第一条第2項に基づき、米国国勢調査局が西暦の末尾が0のつく年の4月1日を基準として実施している米国国勢調査です。一番最初の米国国勢調査は米国建国の14年後の1790年に行われました。それは我日本初の国勢調査が行われた1920年(大正9年)の実に130年も前に行われていました。
ここで言いたいことは、当時の主要国人口のことです。1870年の米国国勢調査から米国の人口は約3900万人。1872年の日本の人口は約3500万人でしたので、人口的に見た場合にはほぼ同じ程度の国でした。ちなみに、1870年のフランスの人口は約3700万人、ドイツが約4100万人、英国は約2300万人。そうです明治の日本は国土の面積は小さかったものの、人口的には既に大国であったことはまぎれもない事実であります。
そのような日米が1871年スタートの1円=1ドルから、経済競争も始めます。明治日本は富国強兵政策で産めよ増やせよで頑張りますが、活発な移民政策も活用して米国はさらにその上を行きます。人口から見ると、我国初の国勢調査の年である1920年の日本の人口は約5600万人ですが、同年米国の人口は初めて1億人を超え約1億600万人となります。そしてまるで人口の差が国力の差であるがごとく、1920年当時の円は対ドルで安くなる流れが定着し2円=1ドル程度となります。
その後は御存知のとおり、米国は広大な国土と地下資源もあってその工業力は、日本だけではなく世界の主要国を圧倒して経済成長を続けます。
とうとう日米が軍事的にぶつかる第二次世界大戦における大東亜戦争が始まる直前の1941年には、円ドルの状況は4円50銭=1ドル程度の円安となっていました。
そして日本の主要都市や工場が米国のB29の爆撃によって壊滅させられ、さらにはヒロシマとナガサキへの原爆投下もあって、1945年8月の敗戦の頃には日本の生産力は戦前の百分の一以下となってしまいました。
円ドルの関係で言うと、円の価値は450円=1ドル程度の劇的な円安となった次第です。実状はそうでしたが、共産主義国家のソ連との対立もあっての配慮から戦勝国の米国は言わばお情けで円に下駄を履かせて、1949年に円とドルの関係を固定相場制とし360円=1ドルと定めたのです。
この固定相場制は1971年のニクソンショックまで、22年間継続しました。
そしてその後に、円高だ円安だと叫ばれる今の変動相場制が定着したのです。
2011年には75円58銭=1ドルという円高局面もありましたが、2022年7月28日現在は136円=1ドル程度の円安の状況にあります。
同じくプラザ合意のことに触れていますが、一味違うコメントがあります!