世の中は今、まさに世界中がトランプ大統領の関税ショック問題で大騒ぎとなっている。ただし、ロシアを除いて!
そんな時だからこそ、せっかくの嬉しい春の日をあらためて味わい直したいものである。
そういう思いから1200年前の『万葉集』(8世紀後半に成立)にある、春の訪れと自然の生命力を感じる歌を5首選んで楽しんでみることにしたい!
万葉集の約4500首の歌には、国のトップに立つ天皇や皇族貴族から一般の庶民に至るまで、実にさまざまな階層の人々による歌が収録されている。特に庶民や匿名の歌が数多く含まれているために、その約4500首のうち半数は作者不詳なのである。
思えば1200年前の昔から、日本人はホントウに歌を詠むのが大好きな国民である!
現在の中学生や高校生の若い人たちが今、年間に100万首を超える和歌を詠むのも至極当然のこととも思えて来る!
今回選んだ歌には万葉の人々(620年~760年頃)が、春の野に若草が芽吹く様子を見て、春の訪れを心の底から喜ぶ思いが詠まれている。
(1)春の野に若菜摘みにと行く我ぞ若菜は摂(つ)れど見えずかもあらむ (巻八)作者は不詳
春の野に若菜を摘みに出かけた私。けれども、摘んだ若菜がどこかに行ってしまったのだろうか、見つからないなあ。 春野での生命の芽吹きと、それに触れる楽しみをおおらかに詠んでいる。
(2)山辺には霞たなびき春立ちぬ鳥の声より春ぞ知るらし (巻三)作者は大伴家持
山辺には霞がたなびき、春が訪れた。その鳥の声を聞いて、春が来たことを実感しているようだ。 春の鳥の鳴き声が、季節の到来を告げる印象的な一首である。
(3)春の野に霞立ちている鶯が声を聞く時心安けし (巻五) 作者は大伴家持
春の野に霞が立ち込めている。その中で聞こえる鶯の声が、私の心を穏やかにしてくれる。 霞に包まれた穏やかな春の景色が描かれている一首である。
(4)若葉見て心嬉しき春の野を歩むごとくに春過ぎ行けり (巻十)作者は不詳
若葉を見つめると、心が嬉しくなる。春の野を歩いていると、春が過ぎていくのを感じる。 春の野で芽吹き始める若葉に対する喜びを詠んだ歌である。
(5)春の鳥さえずる山の春の朝その鳴き声に春ぞ知るらし (巻十三)作者は不詳
春の鳥たちがさえずる山で、春の朝を迎える。その鳴き声を聞いて、春が来たことを知る。 鳥の声と共に春の始まりを感じさせる自然の豊かさを描写している歌である。
万葉の息吹を吸い込んで、そのパワーを貰いちょっとだけ元気になった気がする人もいるかも!